「1週前追い切りは17日(木)にCウッドコースで前に2頭を行かせて、直線に向いてから動かすという内容でした。騎乗した川田騎手には折り合いや反応、動きなどを確かめていただきました。久しぶりに乗ってもらいましたが『安心しました。いい状態できていますね』と喜んでいました。ツメが治ってからは変わりなくきています。右前挫石で2週間休ませていたので、立ち上げる時には体に緩みもありましたが、何とかしないと!というほどの極端なものではなく、特に意識せずに日本ダービーから逆算してやってきました。ツメが治ってからはホント変わりなくきています」(猿橋照彦調教助手)
5月16日撮影
全体的にバランスがよくて文句のつけようがない。3カ月ぶりとは思えない無駄のない体つきで、アバラがうっすら浮いていて前躯、後躯ともに張りがある。ディープインパクト産駒特有のスピードだけではなく、母系のデインヒルの力強さを感じる。
小島 太kojima futoshi
1947年、北海道斜里郡小清水町生まれ。1966年に騎手としてデビュー。「サクラ」の主戦騎手として活躍し、72年には弱冠25歳で関東リーディングを獲得した。78年にはサクラショウリ、88年にはサクラチヨノオーで日本ダービーを制覇。その後、調教師に転身するとイーグルカフェ、マンハッタンカフェなどGI馬を送り出した。2018年2月、惜しまれつつも調教師を引退。
母インディアナギャルはDanzig4×3を持ち、リッジウッドパールS(愛G3・芝8F)とブルーウインドS(愛G3・芝10F)で2着。その父IntikhabはRoberto系のマイラー。デインヒルとRobertoから強靭な後駆を受け継ぎ、いつもスタートがいいし弥生賞も朝日杯もサウジアラビアも直線の坂の部分での加速が圧巻。中山2000mと東京2400mの比較だと、前者のほうが2馬身ぐらいパフォーマンス上位なのは確かだろう。
3.5
望田潤Mochida Jun
競馬ライター。血統評論家。育成牧場従業員を経て競馬通信社編集部に在籍、そこで笠雄二郎著「日本サラブレッド配合史」の影響を強く受ける。サイト「血統屋」「競馬道ONLINE」月刊誌「サラブレ」「ECLIPSE」などで血統に関するコラムや予想を執筆中。共著「パーフェクト種牡馬辞典2018-2019」も好評発売中で、馬主・生産者の配合アドバイザーも務める。ブログ「血は水よりも濃し」
アドマイヤアルバ
ブラストワンピース
「(1週前は)長めからの追い切りました。ジョッキーの感触でやってもらいましたが、一杯に追ってゴールを過ぎてからも追っていましたね。グレーターロンドン(牡6・オープン)もそうですけど、時計が遅いかなと思っても見た目よりも時計が速いです。(2週前は)プラス20キロくらいでしたが、追った後でそこからマイナス3キロでした。動きが良いので目方は気にしていません。2走前(ゆりかもめ賞・500万下)が2400m、前走が1800mといろいろな競馬ができたのはプラスですね。皐月賞組など一線級とは初めての競馬になるので不安材料はありますが、これまでも想像以上に良い競馬をしてくれましたので、今回も不安を吹き飛ばしてくれるような走りをしてほしいです」(大竹正博調教師)
5月17日撮影
前回は内に入る厳しい競馬でラチにぶつかりながら、2戦目であの勝ちっぷりは相当根性がある。パワーもあって東京2400mならどんとこいと言える。俺好みの馬で、ダービー制覇は十分あると見ている。ハービンジャー産駒らしく奥があって、これからさらに良くなるだろう。
G1・2着2回のアルナスラインなどが出る牝系で、母ツルマルワンピースはトライマイベスト=エルグランセニョールの全兄弟クロス4×3。ハービンジャー×キングカメハメハはモズカッチャンと同じ。ハービンジャー産駒らしい濃い末脚を武器に3連勝。大箱坂コースでの追っての味は抜群で、欧州の芝を走らせても強そうだ。2000mベストとみるが2400mでも減点なしでいいだろう。完成度もわりと高い。
4.5
ダノンプレミアム
キタノコマンドール
「1週前追い切りは17日(木)にCウッドコースでペルシアンナイト(牡4・オープン)を含む3頭併せ。前半は折り合いを重視し、ラスト300mで併せてしまいをしっかり伸ばす内容で良かったですね。古馬のGI馬相手なのでどこまで追いつけるかと見ていましたが、これまで調教では動かなかった馬が並びかけるところまでいったので、成長したと言えるでしょう。大型馬なのでゆっくりではありますが、骨格を含め全体的に成長しています。コズミも改善されています。すみれSで走破時計や上がりのタイム、4コーナーでの加速力などを見て『うまくいけば日本ダービーに出走できるのではないか』と手ごたえを掴みました。広いコース、長い直線、左回りもこの馬にはいいと思います。あとはキレ味が削がれないよう、いい馬場でできることを願います」(池江泰寿調教師)
皐月賞は幼さが残る体つきだった。前走から短期間で成長著しく、完成度合いが上がってできあがりつつある。つなぎが立っていて歩様の硬さはあるものの、体のほうはディープインパクト産駒らしく柔らかさがある。
デニムアンドルビーの全弟でトゥザヴィクトリーの甥。トゥザグローリーやトゥザワールドとはキングカメハメハ、サンデーサイレンス、フェアリードールが共通する7/8同血の間柄。胴も脚も長いが、意外なほどピッチのきいた走法で、小回りコースのコーナリングに優れるのは姉と似ている。瞬発力なら一番だから、ここ2年のようなスローの上がり特化のレースになれば東京でも怖い。
4.0
エポカドーロ
「17日(木)の1週前追い切りはCウッドコース2頭併せで、当週に向けて気持ちを向ける感じの内容です。勝った皐月賞の状態を維持できればと思います。今年に入り毎月1回レースを走っているので、ここで人間が「もっと!」となると馬もキツイでしょう。馬を信じています。東京2400mはやってみないと、ですが、がむしゃらに走るタイプではなく、すごく自分をコントロールできる馬です。日本ダービーの時期の3歳馬はまだ子供。それを勝つには馬の状態や心技体が高いレベルで揃っているなど色んな意味での運が必要です。しかし、皐月賞を勝てるくらいポテンシャルが高いですから、やることをやって、あとは運を引き寄せたいですね」(藤原英昭調教師)
ステイゴールドの線のしなやかさが出ているが、道悪の皐月賞を勝ったようにパワーも兼ね備えている。(母父の)フォーティナイナーが出ていて、ちょっと太めの首差しで前躯に力強さがある。皐月賞がメイチの仕上げ感もあるが、今回も見劣らない。
母ダイワパッションはフィリーズレビュー勝ち馬で、「父中距離×母マイラー」の配合だから先行脚質に出たのは順当。体型は母父フォーティナイナーの影響も強い。ラッキーライラックの母父Flower Alleyもフォーティナイナー系だ。母系の奥に皐月賞に強いフェアトライアルの血が4×4で入るので、小脚のきいた走りは東京より中山向きといえる。距離適性もロゴタイプに近い馬だろう。
3.0
ワグネリアン
「皐月賞の敗因は馬場もあったと思います。雨が降ってグリップが効かない馬場になっていました。元々エンジンの掛かりが遅い馬ですが、さらに遅くなってしまってエンジンが掛かる前に終わってしまいました。ですので、レース後もダメージはありませんでした。1週前追い切りは16日(水)にCウッドコースで3頭併せでしっかりやりました。全体時計も速く、折り合いがついて追い出しの反応もよかったです。1週前追い切りとしてはいいものでした。走り方にクセのある馬ということを考えると、2勝を挙げている左回りはこの馬に合っているのでしょう。折り合いがつくので、昨年デビューした時から日本ダービーを目指してやってきました。この勝負服でまた日本ダービーを勝ちたいですね」(友道康夫調教師)
華奢に映るが体全体を使った走りをする。(母母の)ブロードアピールの器用さに欠ける面はあり、ロングスパートをかけていいので東京2400mに変わってさらに力を発揮できる。今回は究極の仕上げで、俺が乗ったら勝てる馬だ。
テンダリーヴォイスの全弟で、マイネルオフィールのイトコ。母母ブロードアピールは根岸SやシルクロードSなど重賞6勝。ディープインパクト×キングカメハメハはキタノコマンドールと同じだが、こちらのほうが牝系のマイラーっぽさも感じさせる体型や反応だ。きれいにストライドを伸ばして走るので大箱向きだが、皐月賞のゴール前の脚色をみると2000mより1800mのほうが斬れるタイプか。
ステルヴィオ
「前走の敗因については、調教のやり方に問題があったと思っています。春2戦、厳しい競馬が続いていますので、状態を維持できるよう調整しています。1週前は6ハロンからやって、どこまで頑張ってくれるのかをテーマに追い切りました。ルメール騎手は良かったと言ってくれました。2400mは正直わからないですね。重賞を勝ったのは中山競馬場ですが、どこに行っても関係なく走る馬です」(木村哲也調教師)
皐月賞と見比べてトモの感じが良くなっている。独特の中距離向きの体型で、前向きな気性。ロードカナロア産駒だが距離の不安はなく、2400mを走りきれる十分な体型で、前走以上の走りが見られそうだ。
クランエンブレムの甥でタカオルビーのイトコ。母ラルケットはクイーンC3着。4代母スイートコンコルドはシンボリルドルフの全妹にあたる。コーナー加速に難のあるタイプだから、東京替わりは大きなプラス。ただ皐月賞のゴール前は前と同じ脚色で、グレイルやキタノコマンドールのほうが勢いがあった。母は1600〜1800mベストだったが、本馬も最も斬れるのは1800mかもしれない。
ゴーフォザサミット
「前走はポジションを取って流れに乗る競馬ができました。追ってから少し渋かったですが、それでも一完歩ずつしっかり伸びて、2馬身差をつけたわけですから、かなり評価をして良いでしょう。道中折り合いの心配がないのと、暖かくなって毛ヅヤが良くなり馬体にも張りが出てきて調子が上がってきたことも、好走要因だったと思います。距離が延びて血統的な良さも出てきましたね。本番と同じコース、距離で結果を出せたのはアドバンテージでしょう。競馬を使ってきているので、1週前は5ハロンから遅い時計の追い切りでした。前走から間隔がないので疲労の残り具合を見ながら調整していますが、幸い心配していたダメージがないので、良い調整ができています」(津曲大祐調教助手)
全体の雰囲気が良くて、出走間隔は詰まるけど青葉賞時を維持できている。器用さに欠けるので広いコース向きで、体型的にいくら距離が延びてもよさそうだ。
ショウナンマイティの弟で、ナスキロ柔い体質と大箱向きのストライドは似たものがある。父がマンハッタンカフェからハーツクライに替わったぶん、こちらのほうが胴長体型で距離適性は長い。一瞬の鋭い脚はないので、青葉賞は距離が延びて好位で運べたのもよかったし、ポジションがとれたのも成長の証だろう。ストライドで走るハーツクライ産駒だから、東京2400mは間違いなくベストコース。
ステイフーリッシュ
「京都新聞杯はテン乗りながらジョッキーが丁寧に乗ってくれました。前走時よりさらに馬はパワーアップしていて、引っ張り切れないくらいです。トビが大きいので、気分よく走らせた方がいいタイプなんでしょう。今回騎乗する横山典弘騎手ならその辺りを期待できそうですし、母カウアイレーンにも乗っていましたからね。カイバも食べて、今回の方が身がついています。450kg以上あれば期待が持てます」(藤田俊介調教助手)
5月15日撮影
線は細く映るが腹が長くて、父のステイゴールドに一番近い体型をしていて長距離向き。2400mにもってこいで、腹袋のない馬だけに輸送を挟んで馬体を維持できていれば。
ブラックホークやピンクカメオの甥で、母カウアイレーンはクイーンS3着。ステイゴールド×キングカメハメハはインディチャンプと同じで、牡ならあまり外していない配合だ。体型や走りは父と母父が強く、牝系のマイラー資質はあまり感じさせない。京都新聞杯では先行して後続を完封、持続力を100%活かしきった騎乗も光った。大箱2400mは合っているし、ここも積極策なら見せ場以上も。
グレイル
「皐月賞から比べてかなり状態が上がっています。皐月賞はやっと間に合ったというデキと、不向きかもしれないと懸念していた中山コースで6着。ゲート内で姿勢が良くないタイミングでスタートが切られてしまったのが全てでしょう。それでも直線で後方から進路を2回ほど探す場面がありながらも上がり3Fは最速タイでした。日本ダービーが楽しみになりましたね。1週前追い切りは16日(水)にCウッドコースで2頭併せ。6F82秒前後でしまいは11秒台。指示通りの内容です。攻め駆けする馬を相手にいい調教ができました。距離は伸びた方がいいタイプ。順調にきているので、折り合いさえついたら楽しみです」(野中賢二調教師)
連勝時はかなりの馬になるかと思っていた。アバラがうっすら浮いていて、体はできていて仕上がりは良好。父に似ているから2400mもこなせそうだ。
ロジチャリスの弟で、3代母シルバーレーンはブラックホークやピンクカメオの母。母プラチナチャリスはデインヒルとシルヴァーホークを持つのでグラスワンダー的で、ハーツクライ産駒ながら内回りで良績があるのはフォームが半ばグラスワンダー的だからだ。皐月賞ではゴール前の脚勢は一番だったし、距離延長もプラスだろうが、あの末脚をそのまま東京の直線にスライドできるかどうか。
ジェネラーレウーノ
「1週前はある程度負荷をかけたかったので、オープン馬を前に見て、直線では並んで交わす追い切りをしました。前走は厳しい競馬で疲れたようですが、リフレッシュして馬体もゲソッとした感じもなく、乗った雰囲気も良いです。これで一段上がってくれればいいですね」(田辺裕信騎手)
「ジョッキーはもう少し反応してほしかったようなことも言っていましたけど、結構良い時計が出ていましたからね。見せる感じの稽古ではなくて、ちゃんとした追い切りができたと思います。来週はフォーメーションを組んで、半マイルから追い切る予定です」(矢野英一調教師)
どっしりとしたタイプではないが、皐月賞と比べてさらに馬が良くなっている。長距離向きの体つきで、2400mに延びてさらに能力を発揮できそうだ。何も不安は見当たらない。
近親に目立った活躍馬は見当たらず、4代母ビミスドの産駒に英オークス馬ジェットスキーレディがいる。母父ロックオブジブラルタルは欧州マイル王でミッキーアイルやグレイルなどの母父。アメリフローラ≒デインヒルのニアリークロス3×3を持ち、グラスワンダーとデインヒルのパワーでゴリゴリ先行し粘り込む中距離馬。皐月賞3着は強い内容だが、あんなレースをして強いタイプなのも確かだ。
サンリヴァル
「2着だった皐月賞はタフなレースで、レース後に筋肉に少し疲れが見られました。じっくりケアして完全に疲労を取ってあげてから…と考えたので、速い調教をするのは控えていました。その分、立ち上げた頃は体に緩みもありましたが、16日(水)の1週前追い切りはしっかりやれました。これでかなりいいところまで上がってくるはずです。あとは当週にやって、どこまでの状態になるかでしょう。ここまでは順調にきています」(藤岡健一調教師)
軽快なスピードタイプではなく、スタミナがあって長距離向きの体型をしている。肩差しから腰つきのあたりがいい。皐月賞と比べて仕上がり度合いはさらに上がっているので、ダービー制覇のチャンスがある1頭だ。
ヴェルデグリーンの従弟で、母母ウメノファイバーはオークス馬。ヴェルデがジャングルポケット産駒ながら中山の捲りで鳴らしたように、この牝系はフェアトライアル的な小脚もよく伝える。本馬は母父アグネスタキオンが強い体型で、トニービンとヌレイエフとアグネスレディーとシルバーシャークのフェアトライアル的な要素を受け継いでいる。東京で差すより中山で捲って味がある馬だろう。
2.5
オウケンムーン
「前走は出負けして後方の位置取りでしたし、競馬に参加できなかったですね。前走後は短期放牧に出しましたが、こちらに戻ってきてからも大きく変わったところは特にないです。迫力ある動きをするタイプではないですし、1週前追い切りはこの馬なりに動いていたと思いますよ。最終追い切りは併せ馬でやることも考えています。」(国枝栄調教師)
体型からして、長距離が得意そうな印象は受けない。全体的なバランスはいいけど突出したところがなく、2000m以下がよさそうだ。
父はジャングルポケット産駒の菊花賞馬。母ムーンフェイズはJRA3勝。母母アフターザサンの産駒に大阪杯のタガノマイバッハ、青葉賞のトキオエクセレントがいる。自身はヌレイエフ≒フェアリーキングの3/4同血クロス4×3。トニービンの血を引く共同通信杯勝ち馬だから東京で巻き返したいが、共同通信杯はゴーフォザサミットが脚を余し、ステイフーリッシュは大幅馬体減に泣いたレースでもある。
エタリオウ
「17日(木)の1週前追い切りに騎乗しました。これまでレースによって馬具を変えているらしいですが、1週前追い切りでは青葉賞と同じ馬装でブリンカーと耳カバーのメンコをつけました。追い切りに乗った目的は状態の確認と、ソラを使うと聞いていたので、その部分の把握です。Cウッドコースでの2頭併せで前に出た時、一瞬フッとしましたが、もう一度指示を出すと進んでくれたので大丈夫だと思います。あとは相手関係ですね。私が見たレースでは粘り強さを発揮していたので、スタミナを信じて乗りたいです。Good condition!Very happy!」(H.ボウマン騎手)
全体的にきれいな曲線でトモの張りもちょうどいい。いい馬で力は出せる仕上がりだが、青葉賞2着では…。
母ホットチャチャはQエリザベス二世チャレンジカップS(米G1・芝9F)勝ち馬。ステイゴールド×ストームキャット系はツクバアズマオー、キャットコイン、シャルドネゴールドなどと同じ。母系にアリシドンやハイハットやシャーペンアップが入るので、ステイゴールド産駒の配合としても及第点。アズマオーを細身でストライドに寄せたイメージで、大箱芝中距離で確実に相手ナリに末脚を伸ばしてくる。
コズミックフォース
「プリンシパルの後も特に問題はないですね。こちらは使って間もないですし、華奢なタイプということもあるので週末(5/20)から時計を出して、最終追い切りはこちらも併せ馬でやろうかと思っています」(国枝栄調教師)
前躯のつなぎの柔らかさがあって、腰つきの強さもある。トモに張りもあって全体的にいい馬。父のキングカメハメハが出ている。背中が詰まっているからか、2400mは少し長そうだ。
母ミクロコスモスは阪神JF3着。その母ユーアンミーはフォワードギャルS(米G3・ダ7F)勝ち馬。母系にはカナダ血脈の強いニアリークロスが重ねられているが、キングカメハメハ産駒の配合としてはオーソドックスな好形といえる。プリンシパルSは一頭だけ違う反応で抜け出したものの、ゴール前では詰め寄られた。パワーと機動力でまとめた配合だから、東京の長い直線では追っての味で一歩譲るか。
ジャンダルム
「皐月賞は馬場もあまり良くなかったですし、スタートが全てでしょう。9着でしたが、参考外と考えていただいていいです。しかし、状態は皐月賞の時も良く、今回も同じくらいの状態を維持できています。1週前追い切りは16日(水)Cウッドコースで2頭併せ。動きもよかったです。東京2400mは長いことには長いですが、弥生賞くらいから折り合いもだいぶつくようになってきましたし、色々と長い距離もこなせるようにと考えながらやっています。中間はゲート練習もしていますし、元々完成度が高かったところにさらにそれなりの成長をしているので楽しみですね」(池江泰寿調教師)
皐月賞よりも張りがあって筋肉がついてきている。立派な馬格をしているのと実績からマイルくらいがベストだろう。2400mは長そうなので、ユタカの巧さに期待するしかない。
ファリダットやフィドゥーシアの下で、母ビリーヴはスプリンターズSと高松宮記念に勝った短距離女王。本馬は父がキトゥンズジョイに替わり、きょうだいの中では最も配合が良い。キトゥンズジョイは北米リーディングサイアーで小回り向きの機動力をよく伝える種牡馬。本馬も斬れるというよりは立ち回りの巧さが身上で、それを活かせる展開流れになれば。ベストは1800mあたりだろう。
タイムフライヤー
「皐月賞前は、若葉Sの内容も考慮して追い切りで負荷をかけて超回復を図りました。同日のアンタレスS(GIII)で5着のユラノトと併せ馬をしたのですが、結果的にオーバーワークだったのかもしれません。今回は16日(水)の1週前追い切りまでにキチッとした状態に仕上げていますし、併せる相手を1000万下で好走のダノンロッソに変えました。タイムもそれなりに出て、見た感じもよかったと思います。あとは、この追い切りを終えてどのくらい回復させられるかでしょうし、それは厩舎力にもかかっていると思います。まだまだこれからの馬でトモに緩さがありますが、それは却って直線が長く広い馬場で力を引き出せると考えています。以前より躍動感も出てきていますし、しっかり力を出せる状態まで調整ができています」(松田国英調教師)
早熟なのか、形が変化していなくて皐月賞時から良くなっていない。早くに結果を出した馬にしては、き甲が抜けきっていない。体型に合った成長曲線を描いていない感じだ。
母タイムトラベリングの全兄タイムパラドックスはJCダートや帝王賞などダ中距離の大レースを勝ちまくった。そこにハーツクライが配された本馬は母父ブライアンズタイムの影響が強い中距離馬で、機動力とスタミナで中山内2000mを捲り差してホープフルSを制覇。グレイル同様、ノーマルなハーツクライ産駒とはタイプが異なるので、東京2400mで更にパフォーマンスを上げられるかは微妙だ。
テーオーエナジー
「デビューからずっとダートを使ってきましたが、頭の中には「日本ダービー」というのもありました。オーナーには兵庫チャンピオンシップを勝ってからご相談しようと思い、伺ったところ日本ダービーに行こうという話になりました。どの馬も適性というのは使ってみないと分からない部分があるように、この馬も芝適性はレースに行ってみてですが、先行力とスピードがあります。ダートでは折り合いがつきますし、距離もこなせるでしょう。むしろもっと延びてもいいくらいです。レースセンスのよさが多頭数で活きてほしいですね。3歳で18頭しか出走できないレース。みんな日本ダービーに出走したくて、賞金を積んでいきます。やはり他のレースとは違って特別です。1週前追い切りは16日(水)に坂路で53.7-38.0-24.2-12.0。流すくらいのつもりでも楽に時計が出ますね。変わりなく順調にきていますよ」(宮徹調教師)
ダートしか走っていないが、いい馬。芝でも走りそうな体型はしているが、いきなり芝のGIでダービーとなると…。
母母オシアナは名種牡馬ストームバードの全妹にあたり、伯父にかきつばた賞のビワシンセイキ、近親にAR共和国杯のトウショウナイトがいる。カネヒキリ産駒はJRAでの全勝ち鞍がダートで、芝は[0-2-0-111]と113連敗中。本馬はインリアリティとミスタープロスペクターのクロスだから配合パターンはロンドンタウンに似る。好配合のカネヒキリ産駒ではあるが、いきなり芝のG1となると…。
2.0
「前走の京都新聞杯は距離を確かめる意味もあったのですが、2着と結果を出してくれたので日本ダービーに向かうことになりました。デビューから全てのレースで3着以内。複勝率100%!相手なりに走れます。左回りも中京で結果を出しています。これまで惜しいレースもありましたが、この馬はレース展開や追い出しのタイミング一つでしょう。1週前追い切りは17日(木)にCウッドコースで2頭併せ。まだまだこれからの馬で良くなるのは秋以降でしょうが、それでも日本ダービーに出られるあたり、いいモノを持っているんでしょう。とにかく、相手なりに動ける馬ですからね」(須貝尚介調教師)
前躯、後躯のバランスがよくていい馬。2200mの重賞で2着しているが、1600、1800mで勝っているように長距離向きではない。肩、腰の感じはいいだけに、できれば首差しがもうちょっと長ければ。
母父 Bernsteinはゴスホークケンを出したマイラー種牡馬。ハーツクライ×ストームキャット系はゴーフォザサミットと同じで、大箱向きで距離延長でパフォーマンスを上げてきたのも似ている。母系に入るデピュティミニスターの力馬っぽさも表現されていて、やや前捌きが硬くストライドをきれいに伸ばしきれない走り。[2-6-1-0]と堅実無比だが、食い込みのチャンスは馬場が渋ったときか。