「先週より良くなっています。しまいを伸ばす感じの1週前追い切りで、反応もよかったですね。ピリッとしたところがだいぶ出てきています。欲を言えば、一昨年の菊花賞や有馬記念の頃のコンディションに戻したいです。どこまで近づけるかですね」(池江泰寿調教師)
6月13日撮影
海外に輸送してから調子を崩していた感じがする。一流馬ほど、崩れると立て直すのが難しいもの。好調時の体のハリや毛ヅヤに戻りつつある。
小島 太Kojima Futoshi
1947年、北海道斜里郡小清水町生まれ。1966年に騎手としてデビュー。「サクラ」の主戦騎手として活躍し、72年には弱冠25歳で関東リーディングを獲得した。78年にはサクラショウリ、88年にはサクラチヨノオーで日本ダービーを制覇。その後、調教師に転身するとイーグルカフェ、マンハッタンカフェなどGI馬を送り出した。2018年2月、惜しまれつつも調教師を引退。
母マルペンサはR.V.マンシリャ大賞典(亜G1・芝2000m)やフィルベルトレレナ大賞典(亜G1・ダ2000m)などに勝った。母父オーペンはダンジグ系のマイラーでこれはディープ産駒の走るパターン。ヘイローとノーザンダンサーの継続クロスで完成早めの配合ではあるが、にしても最近のスランプは気がかり。大阪杯は4角でスペースがなかったし、胴伸びのある体型だが内回り向きの機動力もあるタイプだ。
4.5
望田潤Mochida Jun
競馬ライター。血統評論家。育成牧場従業員を経て競馬通信社編集部に在籍、そこで笠雄二郎著「日本サラブレッド配合史」の影響を強く受ける。サイト「血統屋」「競馬道ONLINE」月刊誌「サラブレ」「ECLIPSE」などで血統に関するコラムや予想を執筆中。共著「パーフェクト種牡馬辞典2018-2019」も好評発売中で、馬主・生産者の配合アドバイザーも務める。ブログ「血は水よりも濃し」
タツゴウゲキ
ダンビュライト
「(1週前追い切りは13日(水)坂路ミッキーロケットと併せ馬)「(今春遠征した)香港から帰国後も見た感じでは特に変わりなく、その後も順調にきています。去年よりも良くなっていますよ」(音無秀孝調教師)
中型だが、前回同様、いい仕上がり。下腹のあたりがスッキリしたのは好材料。
ラブラドライトやモルガナイトの弟、アロンダイトの甥、マリアライトやリアファルやクリソライトのイトコ。パワーとスタミナに定評がある牝系だ。ルーラーシップにリヴァーマンの斬れとリボーのパワー&スタミナが入った配合どおりの中距離馬。それほど鋭敏な脚はなく、AJCCのような積極策が合っている。渋った馬場はこなすので、雨で時計や上がりがかかるレースになればチャンスは更に拡がる。
サトノダイヤモンド
ヴィブロス
「(1週前追い切りに騎乗)1週前なので、強めの負荷をかけてという指示でした。いい動きと雰囲気で、気持ちよさそうに走っていましたね。以前乗った時とは全然違って、全体的にボリュームが出て弾むような感じです。距離は俺のイメージでは2000mのGIを勝っているから大丈夫だと思います。相手も強いですが、牡馬相手に大きなタイトルを取っているので、力さえ出し切れればと思いますし、何より調子が良さそうですね」(福永祐一騎手)
全体的にスッキリしてハリがある。毛ヅヤなどは本当に良くなっており、牝馬らしく暑くなって調子を上げてきた感じがする。
ヴィルシーナの全妹でシュヴァルグランの3/4妹。細身で脚長で姉より斬れる脚質だが、ヘイロー3×4・5だけに馬群を小器用に捌く脚も持ち合わせている。古馬になって馬体が増えてきたが、それでも440キロを切るディープ牝駒。阪神内回りで馬場が渋ってパワー勝負になるのは歓迎ではない。高速馬場が希望だろう。福永騎手とは秋華賞以来のコンビ復活だが、もともと小柄なディープ牝駒は巧く乗りこなす人だ。
3.5
キセキ
「1週前追い切りはすごくいい感じでした。体も大きくなっていますね。昨年はローテーション的にキツい部分がありましたが、いま気持ちはすごく落ち着いています。距離は2000m-2200mくらいがいいと思います」(ミルコ・デムーロ騎手)
久々の前走よりも、全体的にハリが出てきている。勢いのあった3歳時に近づきつつはあるが。
母母ロンドンブリッジは桜花賞2着。母としてもダイワエルシエーロやグレーターロンドンやビッグカポネなどを産み優秀。ルーラーシップ×ディープインパクトは勝ち馬率54%で、ディープ肌では最も成功している組み合わせといえる。父譲りの重厚ストライドはどちらかといえば大箱ベターだが、開催最終日でひと雨あって、内が傷んだ馬場ならば大外を捲り上げる手がある。緩みのないペースで流れてほしい。
パフォーマプロミス
「1週前追い切りはCWコースで戸崎圭太騎手騎乗でしっかりとタイムを出しました。1回使って状態も良くなっています。前走の目黒記念(3着)もいいレースでしたが、休み明けとスローな展開の分でしょう。体質がしっかりしてきたことで、計算通りのローテーションを使えるようになってきました。ここを目標に状態は上向いています」(藤原英昭調教師)
アバラがスッキリして綺麗に見せている。筋肉の発達が著しく、肩、腰の張りがいい。前走よりも確実に上がっている。
シルクプリマドンナの甥でフラムドグロワールのイトコ。母父タニノギムレットはブライアンズタイム産駒のダービー馬。母系にロベルトの血を引くステイゴールド産駒にはゴールドシップ、ステイフーリッシュ、グランシルク、マイネルミラノなどがいる。ステイゴールドのオープン馬らしい機動力に加え、タニノギムレットの斬れ味も受け継いで弱点が少なくどこでも好走するのが取り柄。
4.0
サトノクラウン
「石橋脩騎手が乗って1週前(6/14)はしっかりめにやりましたが、まだ良い頃と比べると動きに物足りなさがあるようです。鞍上がアクションを起こしてもそれに応えるところがまだ少し足りないという話でした。今週の追い切りで変わってくれればと思います。前走のドバイシーマクラシック(GI・7着)の敗因についてはハッキリとはわからないのですけど、初めての環境ということもあると思います。香港も初めて行った時には結果が出ませんでしたし、初めての場所では馴染めないところがあったのだと思います。あと気候的なこともあり、調整がうまくいかず良い状態で送り出せなかったのもあるかもしれません。昨年このレースに勝った時には、大阪杯(GI・6着)からのローテ―ションだったのですが、その方が調整はしやすかったですね。今回は海外遠征明けになりますので、その辺で昨年と比べると調整の難しさがあると思います。今週しっかりめにやったことで、良い方向に向いてくれればと思います。この馬はひと癖ある馬ですが、石橋騎手が調教でも乗ってくれていますし、厩舎の他の馬の調教にも乗ってくれています。馬の癖もわかっているでしょうし、コミュニケーションも取れているので、(乗り替わりの石橋騎手でも)問題ないと思います」(森一誠調教助手)
昨年の勝ったときも決していいとは思わなかった。1週前でもうひと絞りほしい感じだが、追い切りと輸送で絞れればちょうどよくなるだろう。
チェヴァリーパークS(英G1・芝6F)のライトニングパールの全弟。叔父にアサシS(愛G3・芝7F)のライトニングクイックや札幌2歳S2着ファストアプローチがいる。母ジョコンダIIはロッシーニ×ヴェットーリというマイラー血統だが、父マージュは牡にはスタミナを伝える種牡馬だ。配合はナスキロ血脈が強く、脚長で広いコースがベターだが、雨の宝塚記念はこういう持続型ストライドがモノを言う舞台でもある。
ミッキーロケット
(1週前追い切りは13日(水)坂路ダンビュライトと併せ馬)「1週前追い切りはいい併せ馬ができました。だいぶ体がしっかりとしてきましたね。阪神2200mはやってみないと分かりませんが、状態の良さで何とかならないかなと期待しています」(音無秀孝調教師)
※ミッキーロケットの馬体写真はございません。ご了承ください。
仏2000ギニーのランドシーなどが出る牝系で、母マネーキャントバイミーラヴはナッソーS(英G1・芝8F)3着。母父ピヴォタルはファンディーナやトリコロールブルーなどと同じ。そこにキングカメハメハでヌレイエフとミスプロのクロスだが、母にはコジーン、カーリアン、リヴァーマン、ミスワキなどナスキロ血脈が豊富で、この母方のフランス牝系の斬れ味で走る中距離馬。内回りより外回りがベター。
ワーザー
※ワーザーのトレセンレポートはございません。ご了承ください。
※ワーザーの馬体写真はございません。ご了承ください。
ピークスアンドヴァレーズやオープンマインドなど北米の活躍馬が出る牝系。父タヴィストックはワイカトスプリント(新G1・芝1400m)など短距離で活躍したが、父父がモンジューで母父がザビール、クロスがサドラーズウェルズ≒ヌレイエフ3×4なら重厚な芝中距離血統だ。香港中距離界のトップクラスで、2000mでは崩れたことがなく、宝塚向きのパワーと機動力があり、かつ高速芝もOK。本調子なら勝ち負け必至の実力馬といえる。
ステファノス
「前走の新潟大賞典(11着)は休み明けの分ですね。もうベテランの馬なので、定めた目標に対してある程度いい状態になっています。7歳という年齢はありますが、調子はいいですよ」(藤原英昭調教師)
全体のハリは出てスッキリ見せているが、このメンバーに入ると物足りなさを感じる。
母母ゴールドティアラは南部杯勝ち馬。その母ブライトティアラからはQエリザベス二世Sのポエッツヴォイスやエリザベス女王杯のモズカッチャンなどが出る。ディープインパクト×クロフネはシャイニングレイやカワキタエンカと同じ。パワーと斬れ味と機動力を高いレベルで兼備していて、1800-2000mならほとんど弱点のない馬だ。2200mだとあまり持続力勝負にならないほうがいいか。スロー希望。
ストロングタイタン
※ストロングタイタンのレポートはございません。ご了承ください。
体に余裕はあるけど、スッキリ見せているのがいい。いい馬体で前走の勝ちっぷりからチャンスのある1頭だ。
姉2頭は北米の短距離重賞勝ち馬。父リーガルランサムはUAEダービーとスーパーダービー(ともにダ1800m)の勝ち馬。北米血統らしい力強いスピードが武器だが、母父ティズナウがリローンチの系統だからちょっとダラッとした脚質になった。鳴尾記念はレコード決着を好位抜け出しで待望の重賞制覇。2000mを58秒-58秒のワンペースで走って強い馬だ。阪神内回りは合っているので、ここも正攻法で挑む。
スマートレイアー
「1週前追い切りはCWコースで3頭併せ。いつものパターンで悪くなかったです」(大久保龍志調教師)
「(1週前追い切りに騎乗)初めて乗せていただきましたが、いい動きでした。1週前なので、しまいまでしっかり動かしました。元気はあります」(松山弘平騎手)
6月14日撮影
スタートが下手で乗り難しい馬。特別なメリハリは感じないが、いつもと変わりないハリはある。芦毛は見づらいが、上昇気配にはある。
プラチナムバレットの3/4姉で、母スノースタイルは芝短距離-マイルで活躍。若いころは母方のマイラー資質が強かったが、年を重ねるにつれてホワイトマズルの重厚さが表出してきて渋い中距離オバチャンに変貌してきた。とはいえ、ディープ×ダンシングブレーヴというのはナスキロ柔さがオンになりやすく大箱ベターな配合。大阪杯のように内回りのコーナリングを要求される形になると辛いか。
ノーブルマーズ
「コンスタントに使ってきていますが、疲れは見られません。体質もしっかりしてきたと思います。宝塚記念の距離は得意じゃないかな、と思います。自分のペースで行けば、脚を使える馬ですから楽しみです。来週は騎手が乗って、いつも通りの追い切りを行う予定です」(宮本博調教師)
余裕のある仕上がりだが、肩、腰にしっかりと張りがある。父が同じダービーフィズに似ている。
母母タバは亜1000ギニー勝ち馬で、子孫にサーガノヴェルやブライトラインなどが出る。ジャングルポケット×シルヴァーホークだからパワーとスタミナに長けた血統で、456キロのデビューから40キロ以上体重が増え、準オープンの上位常連からオープンでも勝ち負けできる地力を蓄えてきた。母父ロベルト系だから宝塚に向いた血統でもあるのだが、近走を見ると意外に小回りコースは合わないのかも。
ゼーヴィント
「ここ2戦(目黒記念・GII・6着、日経賞・GII・6着)、本当に良かったセントライト記念(GII・2着)あたりに頃に比べると物足りなさを感じています。昨年夏に左前脚を骨折したことが影響していてかばっているのか、本来の走りができていないように思います。体がしっかりと使って走れていない感じもありますので、1週前(6/13)はそれを修正する礎となるような追い切りにしました。手探りの中で調整していますので、今週追い切ってみてまだどうなるかですね。福島への輸送も経験していますし、関西圏への輸送は大丈夫だと思います」(木村哲也調教師)
数字以上に大きく見せて申し分ない馬体。トモがものすごく良くなっており、近2走とは別馬に見える。上昇度を考えると面白い1頭だ。
ナリタブライアンが出るパシフィックプリンセスの牝系。ディープインパクトはこの牝系と相性抜群で、キズナ、ラストインパクト、モンドインテロなども同牝系だ。本馬は母シルキーラグーンがデイジュールの影響が強いスプリンターだったので、上記馬よりは距離適性が短めに。ここ2走は2500mでひと押しを欠いているが、2200mに短縮するのはプラスだし、母父がロベルト系なので阪神内回りも合う。
サイモンラムセス
「1週前追い切りは坂路で15-15より気持ち速い程度でいいという指示。最後は少しフワフワしていましたが、状態やテンション、動きも変わりなくきています。前走のー10kgは連闘の分で、問題ないです。1カ月前まで1000万下レースで20回以上勝てずにいたのが連勝するんですから、競馬の面白さですね。逃げの戦法がよかったんでしょう」(梅田智之調教師)
※サイモンラムセスの馬体写真はございません。ご了承ください。
京都牝馬特別のシスティーナ、中山金杯2着のタフグレイスが出る牝系。ブラックタイドは全弟ディープインパクトと違って粘着力をよく伝えるので、キタサンブラックやマイネルフロストのような先行脚質が成功する。マヤノトップガン産駒といえば高齢での一発大穴が有名だったが、母父に回ってもブラゾンドゥリス、ワンダーリーデル、サンマルホームなどタフで晩成だ。ここも逃げに賭ける遅咲きの8歳馬。
3.0
アルバート
「春の天皇賞(GI・8着)の後は放牧に出して、2週間前に帰厩してからも順調に調整しています。今週(6/14)の追い切りは終いをしっかりやっていますが、この馬のいつもの動きでした。2走前の阪神大賞典(GII・4着)の時はいかにも休み明けという感じでしたが、前走からの良い状態を維持していますし。阪神大賞典時よりも一段階良い状態だと思います。ずっと長いところを走ってきた馬で、ベストは3000mを超える距離でしょうけど、2200mも十分守備範囲だと思いますのでこなしてほしいですね。今回はテン乗りの藤岡康太騎手が乗りますが、この馬はさほど癖もないですし、問題ないでしょう」(森一誠調教助手)
7歳馬で大きく変わった感じはないが、前走と同じくらいの状態にはある。見た目で悪そうなところはない。
インティライミやサンバレンティンの甥で、アロマティコのイトコ。母母アンデスレディーがハイペリオン4・5×7、父の母ベガがハイペリオン4・6・6×5、父父の母フォールアスペンがハイペリオン3×4。父母からハイペリオン的なスタミナを受け、それが完全開花してからはトップステイヤーの座にずっと君臨してきた。最近は得意の長距離でもひと押し欠くので、ややピークを過ぎた感もあるが…。
「1週前追い切りは13日(水)に坂路でしまいだけ負荷をかけました。前走の鳴尾記念(10着)は久しぶりのレースでしたが、その後も特に問題なくきています。具合は上がってくれないと、と思っています。前走は自分のリズムを崩してしまいました。元々、ここが目標ですから、何とか」(鮫島一歩調教師)
1回使って全体的にメリハリが出てきている。昨年の新潟記念を勝ったときよりも良く見える。
母母ニシノムーンライトはJRA6勝のオープン馬で、産駒に芙蓉Sのニシノメイゲツがいる。マーベラスサンデー(宝塚記念)×シングスピール(ジャパンC)でヘイロー3×4だから、両者の持続力あるスピードを受け継いだ。新潟記念のレースラップが59.0-58.9、小倉記念が58.3-59.3。2000mを緩みないラップで走破するのが得意な馬だ。そのわりに鳴尾記念では見せ場がなかったが、休み明けを叩いて変わってくるか。