【跳躍力アップ】
アカイトリノムスメが、さらなる高みへ飛翔する。
母アパパネは、牝馬クラシック三冠+
ヴィクトリアマイル優勝。古馬となり500キロを超えたこともあるボリューミーなマイラーだった。
ディープインパクト産駒の娘は、2歳夏のデビューから前走まで440-450キロで推移。細身ながら四肢や背中・首と、適度に長い中距離ランナー型に出た。牝馬クラシック初戦の
桜花賞は、大レコードで決着。0秒2差の4着に終わったが、自身1分31秒3で走破。
オークスは内ラチ沿いで脚をタメ、巧みに馬群を捌きインを突き2着浮上。
秋華賞は数字こそマイナス2キロだったが、身体や背中の張り、四肢の踏み込みは、春とは1割増し。体力に自信がついたのがわかった。ならば外目を通るロスを承知で前めに押し出し、断然人気の
ソダシに外から並びかけ追い出し開始。
ソダシの意外な失速にはあれれ? ただ正攻法の競馬で後続は完封。最速の上りで急追してきた2着馬を、ゴール通過点ではもういちど突き放す完勝だった。阪神2200mは引き込み線からのスタート、
秋華賞の延長線上にある内回り。前走のリズムをそのままなぞればいい。勝利ではなく4着という記録を持ち出すのは少し強引だが、1分31秒3という
桜花賞のタイムは、能力指数の目安--3歳世代のレベルの高さ、古馬相手の記録的根拠になりうる。
秋華賞後、二週間後には時計も出せた。体調をみきわめつつではあるが、二週に渡って南Wで5F追いを消化。身のこなしはさらに力強さを増しており、木曜日発表の体重は456キロ(前走比+8キロ)。関西への輸送分を差し引いても、減るどころかプラス体重で出走がかなうかもしれない。加えて、斤量は前走から1キロ減の54キロ、天皇賞の
エフフォーリア然り。古馬との2キロ差を活かさない手はない。第一目標は
レイパパレ。
大阪杯は道悪と展開、狙いすました逃げが功を奏したとはいえ、並みいる最強GI馬たちを完封したのは事実。
次走の
宝塚記念からは一転、視線が一斉に集中。早めに圧をかけられ最後アゴが上がってしまったが、牝馬の56キロは牡馬の58キロに相当。2分11秒4で3着なら、レース内容としては上の部類。
オールカマーも重量は56キロ。1000m通過は60秒7と、数字上ではスローながら、本馬を目掛け残り4Fから一気に11秒8にペースアップ、続く3Fは11秒5-11秒7-12秒1。坂上で力尽き0秒4差の4着に沈んだものの、今度の
エリザベス女王杯は古馬牝馬は56キロの同斤となる。
同じ2200mでも今回は内回り。距離延長など思う時、ふと思い出すのは2016年の勝者
クイーンズリング。3歳で挑んだ前年のエリザベスは8着に沈没。勝ち星は1800mまでだったが、翌年の
エリザベス女王杯はデムーロを背に56キロでタイトなイン強襲に成功。ラストランとなった
有馬記念はルメールJを背に、2500mでも2着の大穴を開けた。
エリザベス女王杯に2200m実績はあまり必要ない。
川田Jの硬質な逃げも覚悟のようなものを感じ魅力的だが、ルメールJの柔らかな逃げもしくは先行策も前進材料になる。理想的
シルエットはどんな造りか、まだイメージがわいてこないが、
大阪杯や
宝塚記念時よりは、数字の増加通り確実に身体に芯が入りつつある。
問題は
ウインマリリンの扱い。牝馬中距離実績なら文句なし、しかし木曜日発表の470キロ(プラマイ0だが輸送でどれだけ減るか)という体重が示す通り、今回に限っては体調の見極めが大きな課題となる。なんて、紐解けば3歳春・
フローラSを1分58秒7の好記録で勝ち上がり、
オークスは
デアリングタクトの0秒1差。金星奪取にあと一歩のところに迫った。秋は体調が整わず不首尾に終わったが、本年春の
日経賞は
カレンブーケドール、
菊花賞・天皇賞二冠馬
ワールドプレミアを撃破。春の天皇賞は今年は阪神3200m、レース構築とペース判断がきわめて難解。外目14番枠を引き終始外々を回され、勝負どころで内に潜り込めずスパートの機会を逸してしまったが、ゴール板通過時、もうひと伸びしようとする根性には唸った。
オールカマー前には肘のクリーニング手術を施し、体調はすこぶる良好。進路をなくし外に切り替えるロスがありながらも、他馬を蹴散らし一目散にゴールに飛び込み、実力の高さを見せつけた。
1キロ増の56キロも影響を与えるとは思えない。ただ、厩舎サイドの発言にもあるように、この中間手術した箇所が熱を持つというアク
シデントが発生。先週の追い切りは、高脚を使い、ギコちなく硬い脚捌きに見えた。今週の調教も単走で序盤の入りは15-14でゆるゆる、上り重点の追い切りとなったが、ラスト1Fは11秒5。先週より確実にフォームと推進力は向上している。
オールカマーのデキにはなくても、勝ち負け可能な仕上げにぎりぎりながらもってこれたかな?…。
惑星は
ウインキートス。
オールカマーのパドックもそうだが、あたりをキョロキョロ、落ち着きがない。しかし、前走は、もう一列前の
ウインマリリンの位置近くにいたら、単勝もあったかもしれない手応えと伸び脚だった。三走前の
目黒記念の上りは3F・32秒5。「上りが速すぎますね」と、後塵を拝したルメールJが肩をすぼめて話していたが、能力なくては32秒4は出せない。連下筆頭は
ランブリングアレー。
オールカマーは久々で馬体は緩め、勝負どころの反応が鈍かったが、吉田隼Jとのコンビで、
ヴィクトリアマイルを1分31秒7で
グリグリと力で2着に押し上げてきた地力の持ち主。不良馬場の中山牝馬Sを外一気、
愛知杯を1分58秒7で2着強襲歴もある。叩き良化、距離は二度目、55キロで3勝というのも小さいながら加点材料となる。
ステラリアは
忘れな草賞・1分58秒0が、能力のベース。密集馬群の内でじっと我慢。勝負どころでスルリと前を捌き追撃態勢が取れれば金星もある。大穴は
イズジョーノキセキ。
京都と阪神の違いはあるが、昨年の
秋華賞の前の10レースの
大原Sは、
レイパパレが1分46秒3で快走。今年の
秋華賞の前のレースは、
西宮Sとレース名はかわったが、決着タイムは1分46秒1。
ジェラルディーナは幻の
秋華賞馬だったかもしれないなぁ…。なんて、
イズジョーノキセキは同レース2着。状態は最高、2200mの適性も高い。